Q.先生の専門分野・担当授業の内容を教えてください。
私の受け持っているサービストレーニングでは、片手にお皿を2・3枚持ちグラスの持つ位置や出し方、料理の出し方や下げ方など、レストランで必要なサービスの基礎を教えています。
それをただ教えているのではなく、チーム分けをしてお客様・スタッフに分かれ仮想レストランを作り、メニューやポジションなどを生徒に考えてもらい、いかに相手をよく見てどう動くかを予測してもらいます。自発的に動けるようになるために、「考えながら感じる」という実践に近い技術の習得の指導を行っています。
Q.現在の専門分野を目指したきっかけ、それに対する想いなどを教えてください。
小学生の時、家族旅行で行ったホテルスタッフの対応・カッコよさに憧れてホテルマンになろうと思いました。
親が牛乳屋をやっていたので、お正月の3日間しか休みがなかったのですが、そんな貴重な家族旅行で、いとこが風邪を引いてしまったんです。その時にホテルスタッフの方が丁寧に看病をしてくれて、ここまでサービスをしてくれるのか、と感動したんです!
ただ、小さなころから体型にコンプレックスがあって。かなり太っていたんですよ(笑)。この体型で、ホテルスタッフになれるのか不安はありました。そんな不安を解消していただいたのが、ここ YMCA の先生です。「君のその気持ちがあれば、なれるよ!」という言葉に、「とことん頑張ろう!」という気持ちで応えるため、食のプロフェッショナルになろうと強く思いました。そして、一番優秀な成績で卒業することができました。
Q.卒業後は、どんなお仕事をされていたんですか?
学生時代にアメリカのラスベガスに研修へ行っていたこともあり、卒業後は半年間シンガポールのマンダリンホテルで働いていました。その時はそんな有名なホテルだと知らなかったので、今になって驚いています(笑)。
元々、英語が好きで得意だったので、高校の特の卒業アルバムに「海外で働く」ということを書いていたんですよ。その夢が叶ったということになりますね。
Q.学生に教えるうえで、心がけていることや大切にしていることを教えてください。
「楽しく・美しく・自分らしく」を大事にしてます。
まず、楽しさは相手に伝わります。自分も楽しまないとお客様にも楽しんでもらえないと思っています。「この時間を自分がどう楽しむか」「どうお客様に楽しんでもらうか」ということを常に考えられるようになってほしい。
そして、美しいものは見ていて飽きません。立っているしぐさから料理を提供する指先まで神経を尖らせ、美しくしなやかに自然な仕草を身に付けることが大切です。最後の「自分らしく」は100人いたら100通りのサービスがあると思うんです。機械的なサービスは誰にでもできる。だからこそ、いろいろな色……雰囲気を持ったサービスマンになれるようにと思いながら教えています。
Q.教員になってから、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
たまに卒業生が学校に遊びに来てくれて、今の配属先の仕事内容を学生の前で話してくれた後、在校生にサービス指導をしてもらいます。ホテルによってサービス内容も様々なので、とても興味深い。その先輩の指導を受けている在校生の眼差しは真剣そのもの……! そのやり取りがたまらなく、胸が熱くなります。
Q.これからこの専門学校を目指す高校生にアドバイスがあればお願いします。
「食はエンターテイメント」です。お客様の楽しそうな笑顔・美味しそうな表情・驚きの動作全てをサービスで演出できます。例えば、早く食べてほしいときは早く料理を提供する、メイン料理は見せ場なので、ゆっくり提供して緩急をつけるなど、まさに「食の演出家」!ただ、簡単に出来るわけではありません。基礎をしっかり学んで経験を積み、どう展開するか……プロが成し得る技なのです。
人生「チャレンジ」! 「私には出来ない」「向いていない」と思わず、思い切って飛び込みましょう! そこから新しい道や自分が発見できると思います。
大友祐輔(オオトモユウスケ) 先生
サービストレーニングI・II