Q.先生の専門分野・
担当授業の内容を教えてください。
介護福祉学科で、全学年に関わる複数の教科を担当しています。「介護の基本」という科目では、介護福祉士として働くための大切な知識を教えています。グループワークを取り入れた指導方法で、利用者の立場として、自立した生活を送るにはどうしたら良いか伝えています。
Q.現在の専門分野を目指したきっかけ、
それに対する想いなどを教えてください。
幼い頃から人と関わることが好きでした。また、祖父が病気になり、祖母が介護をしている姿を見て、介護の大変さを目の当たりにしました。そのことがきっかけで、福祉に携わる仕事をしたいと考えるようになり、現在の職場である母校に入学しました。
卒業後は介護福祉士として働きながら、時々こちらで講師をしていました。そのうちに、もっと学生に介護を知ってもらうところから指導をしたいと考え、現在は介護教員として働いています。
Q.学生に教えるうえで、心がけていることや大切にしていることを教えてください。
生活支援技術の授業では、生活に必要な移動・食事・入浴・排泄などの介護方法を学びます。利用者役と介護者役に分かれ、介護技術を実践します。その時に、学生へ自分の失敗した経験談を踏まえて、2つのことを伝えています。
1つ目は、声がけだけ丁寧でも、気持ちは「手」から伝わってしまうこと。介護福祉士をしていた時、利用者の方から教えていただきました。声がけした時に、顔だけは利用者の方を向き、体は違う方向を向いていたことを指摘されたのです。お互いにしっかりと向き合い、気持ちを込めなければ、信頼関係を築くことはできないのだと気付きました。
2つ目は、利用者役が一番勉強になること。手際良く手伝ったつもりでも、力加減や順序など、実際に体験しないと分からないことがたくさんあります。利用者役の体験を通じ、「相手の気持ちが分かること」や、「介護者として何に気をつけて支援することが大切か」を伝えています。
授業では、刺し子など利用者の方と楽しめるようなレクリエーションも指導する
Q.教員になってから、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
介護実習を受け入れてもらっている施設で、卒業生が学生に指導している姿や利用者の方と楽しくレクリエーションをしている様子を見て、成長した姿に毎回嬉しくなります。
また、学生が実習先の職員から指導された話の中で「手際良くすることも大事だけど、急いでいる気持ちが『手』から伝わる」と教えられたそうです。私が指導したことを、後輩へと引き継いでくれているんだ、と感じました。学校で教えたことを、卒業生が現場で生かしてくれていることに感動しました。
卒業生が考えてくれた教員をイメージしたキャラクター
Q.これからこの専門学校を目指す高校生にアドバイスがあればお願いします。
みなさんに好きなアーティストがいた場合、「その人のライブに行きたい」「会いたい」と心をワクワクさせながら、チケットを買いに行くと思います。利用者の方も同じで、心がワクワクすることがあれば、行動につながります。心が動かなければ、次のアクションへつながりません。我々の言葉が、利用者の方の気持ちを動かすきっかけとなります。「今日は○○さんの好きな献立だよ」と、ワクワクする言葉で声がけしてみませんか?
介護は特別なことではなく、家庭の中でも行われています。しかし、介護福祉士は「介護のプロ」。相手にとって何が必要で、どのような技術を提供するか、利用者の方と楽しく、その方の人生のお手伝いをしましょう!
湯村恵里子(ユムラエリコ)先生